2023年1月1日日曜日

最低限だけ覚えてFreeCADで3Dプリンター用のモデルを作成する(最低限と書いた割に長文)

ツリー構造のスケッチベースの3D CADなのでスケッチベースの商用CADが使い慣れた人にはとっつきやすい?かもしれない?Freecad。でも実際は、複雑なモデルを作りたい人にはおすすめしない感じ。

FEMやらなんやら機能がいっぱいある上に、プラグインを追加すればアッセンブリーのようなことも出来るそうで益々商用CADに並みかそれ以上の高機能な統合環境にすら見える。ケド?

オイラの勝手な独断ですが、
◆FreeCADが比較的向く人
スケッチ数個程度の組み合わせの単純な形状のモデルを作りたい人

◆FreeCADが向かない人
・大雑把に形状を作って後から拘束条件で最終形状を決めるタイプの人
・大量のスケッチを使用した、複雑なモデルを作りたい人
・フィレット、面取りを大量に使用する人

理由は、モデル内のスケッチを後編集すると、多くの場合モデルがぶっ壊れるから。それができてこその3D CADダロ?と思っている人は使わないでください。たぶん、使い始めて30分以内でブチ切れる。

FEMまで統合された統合環境CADがFreeなんて!!と、試しで使ってみるものの、形状修正しようとスケッチの数値をちょっと変更しただけでモデルが壊れて、わけがわからなくなり挫折。これならば情報の多いFusion360がいいや、になる人が多いのではないかと? この辺がいまいちメジャーになれない原因?

時と場合にはよるのですが、モデルの作成がある程度進んだところで先に作ったスケッチの外形寸法等を修正したりすると、スケッチを抜けたところでモデルのpoint,Edge,Faceみたいな構成要素が再構成され要素番号が変わるようで、例えば任意のFaceを基準にしたスケッチなんかがあると、そのスケッチは作成時に指定したFaceの場所ではなく、指定していた番号に変わった違うFaceのところに作られるので、形状が消えたり、意図しないところに形状が現れたというような事が起きる。
フィレット・チャンファーも、指定していた部位のEdge番号が変わってしまい、指定していたのと同じ番号になった別のEdgeのところに意図しないフィレットがかかったり、フィレットかけられないワーニングだらけだったりで、結局フィレット全部消してつけ直したほうが早いわと。多用してると、何かの拍子に対象エッジが移動していてモデルを出力してから気がつくみたいなことも起きたり。
最後は、壊れた要素を消去・修正しているうちに悪化して、最初から作ったほうが早いのでは?と嫌になる???

以下、それでも使おうと思う人向け。
個人的には数スケッチ程度の組み合わせで作れるような単純なモデルならばFreecadで作るのが一番手っ取り早いと感じているので多用していますが・・・・・・。

◆簡単な3Dモデルを作成してみる
ある程度CATIA V5あたりでSOLIDモデルが作れる人向けで、3Dプリンター用のモデルを作るのに最低限の操作法。

フラックス用のキャップを開けやすくするための部品を作成してみる。

「ファイル→新規作成」でモデルを作成しようとしたところで、最初に出てくるワークベンチ「START」がビューアーの機能しかないので、何をどうしたらいいのか分からない問題。
初めて使おうとした時の躓きポイント。用途によってワークベンチを切り替えて作業をするという概念が必要。
次に来る躓きポイントが、機能が多いせいでワークベンチがいっぱいありすぎてどれを選べばいいのかがわからない問題。今回の場合「Parts Design」を選択するのがベター。
CATIA V5だと新規作成の時点でPartなのかAssembleなのかなんなのか決めないといけないのだけれども、それがない。

この辺で、とりあえずFileを保存しておく。この後も区切りのいいところでマメに上書き保存がベター。時々、固まったり、落ちたりすることもあり、再起動すればリカバリー機能で復元できることも有ったり、無かったり。特に、スケッチの再編集をする前は保存必須、モデルが壊れたり、固まったり、落ちたりしやすいから。

◇「Parts Design」で最低限必要なツールアイコン
・ボディの作成と、スケッチの作成

・全てにフィット、選択範囲にフィット → 拡大縮小や、キー・マウス操作でモデルが表示から消えた時に便利
・描画スタイル → 要素が隠れたり、裏の形状を確認したかったり、重たい表示を軽くするときとかに切り替える

モデルの表示面を切り替える。マウスでも操作可能だけど、真上から形状を確認したいとか言う時に便利

◇スケッチを作成

・モデルの基準面を決める
FDM方式の3Dプリンター用のモデルを作る場合はベッドに密着させる面の形状を最初に決めないと造形しにくい形状になりがちな事から、(個人の考えですが)底面になる「XY平面」から始めるのを基本にしているので、XY_Planeを選択してダブルクリック
XY平面をベットへの定着前提でモデルを作成すれば多くのスライサーソフトで後から位置調整をする必要が無くなるので、造形を始めてから方向が違ったーなんて事が起こることは少ないかと?

モデル化する前の脳内形状がFDM方式の3Dプリンターで作る前提になってしまっているのは良いのか悪いのか?

・スケッチャー
自動的にスケッチャーのワークベンチに切り替わる

・スケッチの作成に必要なツールアイコン
外形形状の作成は、この辺のツールを組み合わせて形状を作成

拘束はこの辺のツール

・スケッチの作成
グリップ部分の外形を作るので6角形を2つ重ねたものにしようかと?同じ12山でも12角形だと凹凸が無いのでいまいち?
正多角形を作成で六角形を選択。六角形の中心は(0,0)にしたいので、XYの交点にあるポイント付近でクリック。マウスのポインター位置座標が(0.3,-0.4)と出ていても、黄色変わっている要素(点)に自動的に拘束が付き(0,0)になるので気にしない。

X軸上のテキトウな場所でクリック。X軸が黄色になっていればX軸上に自動拘束が付くし、2面幅はあとで寸法拘束をかけて決めるので気にせずテキトウ配置。

同様にY軸拘束の6角形をもう一つ。

6角型の二面幅を決めるのに、水平距離拘束をつける

垂直も同様に

完全拘束状態になると緑になる。これ以上拘束を足すと過剰拘束になって赤になるんだっけか?

このままでは三角柱だらけの中心部が空のソリッドになってしまうので、「エッジをトリム」で不要な線を削除。逆に延長したい要素は右隣の「エッジを延長」で伸ばしたり。

Freecadのトリムは選択した部分が消えるタイプのトリムで、プリントスクリーンの都合上マウスポインターが消えていますが上方の真ん中をトリムして、そのすぐ右をトリムしようと選択している状態。

トリム後に緑から直線が白に変わっているように一部の拘束が外れているので、試しに寸法を変えてみると、形状が壊れる。

拘束の寸法線が邪魔で動かしたくなっても、トリムモードのままでは寸法線に触れないので、「Esc」キーで抜ける。

拘束の寸法線は数字のあたりをつかめば動かせる

ベースのスケッチが出来上がったので、「スケッチを終了」もしくはキーボードの「Esc」キーでスケッチを抜ける。

再度スケッチに戻るには該当のスケッチをダブルクリック。
説明にすると長いですが、実際の作業では、新規作成からここまでで3分もかからない。

◇ソリッドの作成
スケッチ形状をベースに、これらのツールアイコンで押し出し、回転、足し引きすることでソリッドモデルを作成

押出(Pad)
コンボビューで押し出ししたいスケッチを選択してPadをクリック

押し出し寸法を決めてOK

フィレットの作成
フィレットをかけたいエッジを選択してからフィレットアイコンを選ぶ。

複数のエッジに同じ半径のフィレットを付けたい場合はコンボビューのフィレットパラメーターの「追加」ボタンを押してから追加したいエッジやフェースを選択。
削除は「削除」ボタンを押してからモデル上の該当要素を選択。フィレットパラメーターのところで選択しても削除されないので要注意

グルーブ(スケッチの回転で溝を作る)用のスケッチを作成
真ん中にテーパー形状の穴を空けたいのでXZ平面上に台形を作成。
(テーパー穴を作るならば、最初のスケッチの中心に基準の丸を追加して、押し出した後にチャンファー等の方法もありますが、機能の説明の都合上・・・。)

とりあえず原点基準の四角を作成。でも、モデルに隠れて肝心のところが見えない。

どういう表示が見やすいかは好みによりますが、描画スタイルをワイヤーフレームあたりに切り替える。

見えるようになる。

台形にしたいので「Constraint6」の垂直拘束を選択し、キーボードの「Del」キーで削除

上下のそれぞれの辺に水平距離拘束を設定

グルーブでテーパー穴を作成
スケッチを抜けて、グルーブを実行

フィレットの作成
キャップに挿入しやすいように底面にフィレットを追加

モデルは完成

STLファイルの出力
STL形式のファイル出力は、印刷したいモデルを選択した状態で、エクスポート。必要な形式のファイルを選択し保存。

蛇足
◆外部ジオメトリーの追加
スケッチの作成時にボディ上の形状を基準に要素を作成したい場合に使う

参照したい要素を選択

ジオメトリーが取り込まれる。取り込まれた要素は「構築モード」なのでモデルには直接反映されない。(→ CATIA V5では「補助エレメント」だか「参照エレメント」とかいっていたような?)

取り込んだ円をベースに四角を接線拘束したスケッチを作成してみる。

◆構築ジオメトリーの切り替え

仮に、円の外形に四角を接線拘束したスケッチを作成

スケッチから抜けた状態

押し出すとこうなる

再度、スケッチに戻り、円を選択した状態で構築ジオメトリーをクリックし、円のモードを変更

円が構築モード(青色)に変化する

スケッチを抜けると円は表示されない

押出(Pad)しても同様に円は出て来ない



最低限のつもりが、長文に・・・・・・。

SOLIDモデルの作成は、このような作業をひたすら積み重ねるだけなので、Freecadでも相当複雑なモデルを作ることもできますが、スケッチを修正した時のダメージが大きいので複雑なモデルを作りたい人にはあまりおすすめしません。

モデルの外寸を変えたい場合は、スケッチの寸法を変えるのではなく、新しいスケッチを追加して要素を足すなり引くなりするとか、モデルを壊しにくい編集方法の試行錯誤の体得が必要かも?

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